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煌く原子の光に飛び込もう
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Moon Ride

美しい満月の下で。

(NARUTO 角都×飛段)
「海だ。」
飛段がそう呟く。
今回の任務で海辺の近くの里に来ていた。当然、こんなS級犯罪者を泊めてくれる宿も無いのでオレたちは野宿する場所を探していた。そして海に辿り着いたのだ。
夜の海は空と混じり、どこまでも広がっているように感じた。
穏やかな波が打ち寄せ、大きな満月が顔を夜空に出している。
「もっと近くまで行こうぜ。オレ、海を見るの初めてなんだ。」
飛段が少し嬉しそうに言った。
やつの生まれ故郷は知らないが、大抵の里は内陸地にあるので海を知らない忍は多い。
オレも海なんて久方振りだ。
返答も聞かずに飛段は海の方へ走って行った。オレは静かに歩いてやつを追う。
小波が浜辺で広がって飛段の足に触れると「つめてぇ!」と言いながらその感覚を楽しんでいる。
まるで子供だな、と呆れてオレは適当な場所を見つけて座った。

波の感覚に飽きたのだろうか、飛段は動きを止め海の遠くをじっと見つめている。
そして、静かにオレの方へ歩み寄ってくる。

「なんだ、もう飽きたのか。」
オレの少し皮肉を込めた言葉に反応することも無く、やつはオレの隣に座った。
その顔は切なそうな顔をしている。オレは先ほどとの表情の差に驚いた。
「飛段、どうした。」
思わず訊ねてしまった。
「海と空は夜になると一つになるんだな。」
やつはポツリと呟いた。
意味深なやつの言葉にますます謎が深まり、オレは次の言葉を待った。
「オレとお前も死んだら一つになれるのかな。」
そう言ってオレの腕を掴んだ。その手は震えていた。
「どうしてそんなことを言うんだ。」
飛段が苦しそうにしている理由がオレにはわからなかった。
すると飛段は悲しそうにオレを見つめた。オレの外套を握る力が強くなった。

「だってオレ…お前と…」

やつが言い終わらないうちにオレは理解した。
ジャシン教は純潔を戒律として定めている。
だからオレは飛段と体を重ねたことはない。
本当は狂おしいほどに飛段を抱きたかった。でも、やつが信じているものを奪う気持ちにはなれなかった。

「角都…ごめん。」

申し訳なさそうに、飛段が言う。
その姿が酷く愛しかった。

「どうして謝るんだ。オレはお前が居てくれればそれでいい。」

そういって飛段を抱きしめた。
銀色の髪が、月光に照らされて一層美しく輝いていた。
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