煌く原子の光に飛び込もう
傷跡 -Kside-
お前のために生きたいと思った。
角都編です。
お前のために生きたいと思った。
角都編です。
火の国へ行く途中だった。
「角都、オイラの腕を治してくれ。」
「デイダラ…」
突然デイダラがオレ達の目の前に現れたのである。
やつには両腕が無かった。
「なんだデイダラちゃん、爆発事故か?」
それを見た飛段はデイダラを馬鹿にするような言葉を投げかけた。しかし、生憎無視をされまるで子供のように不機嫌になってその場に座り込んでしまった。
自分から嗾(けしか)けておいて…なんて馬鹿なんだ、こいつは。
オレは飛段を呆れながら見ていたがデイダラの方に視線を移せば、どうも様子がおかしい。
意識が何処か別の所へ行ってしまっているのだ。
こんな虚ろな顔をしているデイダラは見たことが無かった。
「早く腕を見せろ。」
オレがそう言うとデイダラはやっと正気を取り戻して、切れた腕を外套の中から取り出した。
やつの外套の袖を捲り、黒い糸で腕を縫いつけていく。
「じっとしてろ、縫い目がずれる。」
少し痛そうな顔をしたが何も言わないのでオレは構わず続けた。
「すげぇな。普通に動かせるぞ、うん。」
縫合が終わり、自由に動く手を見てやつの顔は少し明るくなった。
しかし、すぐに暗い顔をして残った傷跡をじっと見つめた。
「縫い目が気になるか。」
暗い沈黙に耐え切れずにオレは尋ねた。
「いや…ありがとな。」
デイダラは礼を言うだけで何も言わなかったが、やはり傷跡が気になっているようだった。
少しその様子に腹が立った。
…そんなに傷跡が気になるならサソリに治してもらえ。
やつなら腕の一つや二つ簡単に造ってくれるだろう。
そう言おうとした時、オレは気づいてしまった。
デイダラの隣には相方がいなかった。
サソリが死んだのだと、その時悟った。
「サソリはどうしたんだ。」
帰り際にオレはそっと聞いた。
「死んだんだ。」
「…そうか。」
やはり予想は当たっていた。
しかし、オレはそれっきり何も言えなくなってしまった。今のデイダラに言えるような言葉など何一つ無いのだ。
デイダラは飛段の方をちらりと見た。飛段はいつの間にかオレ達に背中を向けていた。
オレが飛段以外の治療をしていることに、きっと嫉妬しているのだ。
「アンタの相方、大事にしろよ。」
「ああ。」
最後にデイダラは言った。
その言葉は重くオレの心に響いた。
デイダラが帰ってもまだ後ろを向いて振り向かない。
そんなにやつの治療をしたことが気にくわないのだろうか。
オレは飛段の背中を見つめた。
飛段、お前は知らないだろう。
オレは強くなるために、今まで生きながらえてきた。他人のことなんて考えもしなかった。
だから自分のこの傷を治す力も自分のために使ってきたのだ。
でもお前に出会って変わってしまった。
お前のために生きたいと思った。
お前が安心して戦えるように。
どんなに酷い怪我をしても治してやりたいんだ。
こんな風に思えるやつなんて、お前しかいない。
…例え死んでもお前に面と向かって言えないが。
「行くぞ」
オレはそう思いながら飛段の頭をポンと叩いた。
「…」
何も言わずに飛段は頷いた。
「角都、オイラの腕を治してくれ。」
「デイダラ…」
突然デイダラがオレ達の目の前に現れたのである。
やつには両腕が無かった。
「なんだデイダラちゃん、爆発事故か?」
それを見た飛段はデイダラを馬鹿にするような言葉を投げかけた。しかし、生憎無視をされまるで子供のように不機嫌になってその場に座り込んでしまった。
自分から嗾(けしか)けておいて…なんて馬鹿なんだ、こいつは。
オレは飛段を呆れながら見ていたがデイダラの方に視線を移せば、どうも様子がおかしい。
意識が何処か別の所へ行ってしまっているのだ。
こんな虚ろな顔をしているデイダラは見たことが無かった。
「早く腕を見せろ。」
オレがそう言うとデイダラはやっと正気を取り戻して、切れた腕を外套の中から取り出した。
やつの外套の袖を捲り、黒い糸で腕を縫いつけていく。
「じっとしてろ、縫い目がずれる。」
少し痛そうな顔をしたが何も言わないのでオレは構わず続けた。
「すげぇな。普通に動かせるぞ、うん。」
縫合が終わり、自由に動く手を見てやつの顔は少し明るくなった。
しかし、すぐに暗い顔をして残った傷跡をじっと見つめた。
「縫い目が気になるか。」
暗い沈黙に耐え切れずにオレは尋ねた。
「いや…ありがとな。」
デイダラは礼を言うだけで何も言わなかったが、やはり傷跡が気になっているようだった。
少しその様子に腹が立った。
…そんなに傷跡が気になるならサソリに治してもらえ。
やつなら腕の一つや二つ簡単に造ってくれるだろう。
そう言おうとした時、オレは気づいてしまった。
デイダラの隣には相方がいなかった。
サソリが死んだのだと、その時悟った。
「サソリはどうしたんだ。」
帰り際にオレはそっと聞いた。
「死んだんだ。」
「…そうか。」
やはり予想は当たっていた。
しかし、オレはそれっきり何も言えなくなってしまった。今のデイダラに言えるような言葉など何一つ無いのだ。
デイダラは飛段の方をちらりと見た。飛段はいつの間にかオレ達に背中を向けていた。
オレが飛段以外の治療をしていることに、きっと嫉妬しているのだ。
「アンタの相方、大事にしろよ。」
「ああ。」
最後にデイダラは言った。
その言葉は重くオレの心に響いた。
デイダラが帰ってもまだ後ろを向いて振り向かない。
そんなにやつの治療をしたことが気にくわないのだろうか。
オレは飛段の背中を見つめた。
飛段、お前は知らないだろう。
オレは強くなるために、今まで生きながらえてきた。他人のことなんて考えもしなかった。
だから自分のこの傷を治す力も自分のために使ってきたのだ。
でもお前に出会って変わってしまった。
お前のために生きたいと思った。
お前が安心して戦えるように。
どんなに酷い怪我をしても治してやりたいんだ。
こんな風に思えるやつなんて、お前しかいない。
…例え死んでもお前に面と向かって言えないが。
「行くぞ」
オレはそう思いながら飛段の頭をポンと叩いた。
「…」
何も言わずに飛段は頷いた。
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