煌く原子の光に飛び込もう
酒に酔う [後編]
変な男に絡まれる飛段。
角都さんの苦悩は絶えません。
(NARUTO 角都×飛段)
変な男に絡まれる飛段。
角都さんの苦悩は絶えません。
(NARUTO 角都×飛段)
寂れた通りを歩いていく。外の空気の冷たさが酒で火照った体に気持ちよく感じられた。少し意識がしっかりしてきた。
「あーむかつく」
オレを置いて行った角都への腹立ちが収まらない。と同時にどうしようもなく傷ついてる自分が嫌になった。
あいつは男だ。フツーの男なら女に手を出す時だってあるだろ。
そう納得しようとしても、逆にその理由が自分を落胆させる。
オレはつくづく角都に惚れてんだ。
早くオレはこの憂鬱な気持ちを晴らすべく、たまたま目に付いた酒場に入った。
ほの暗くて青白いライトが照らされている洒落た場所だった。
「ワインをくれ。」
「はい、かしこまりました。甘さはいかがいたしましょう。」
「一番甘いのを。」
カウンター席に座って酒を頼む。きつい酒ばかりを飲んだので、甘い酒が欲しかった。
差し出されたボトルからグラスにワインを注ぐ。赤紫色が青白い空間の中で輝いている。オレは一気に飲み干した。飲みきれなかった分が顎から首に伝ったが気にしなかった。
ワインはアルコールを感じさせなくて、ただ葡萄の甘さだけが口に広がった。それがオレには心地よかった。朗らかな酔いがオレを襲うのだ。
「1人で飲んでいるのかい。」
しばらく飲んでいると突然背後から話しかけられた。振り返ればいかにも夜の街で生きていそうな顔立ちの良い男が立っている。
男はオレの隣に座ってきた。オレは相手にしたくなかったので無視してワインを飲み続けた。
「君、ワインが似合うね。君の瞳が赤いからかな。」
微笑みながらこっちを向いて言って来る。ぞっとした。きっとこいつも酔っ払ってんだと思った。
しつこそうなやつだったので、オレは最後の一口を飲んで金を払って出ようとした。
「一緒に飲みなおさないか。」
「…うるせぇな」
オレは足早に酒場を出た。さっさと宿へ戻ろうとしたのだ。
しかしその男は後を追ってきてオレの腕を掴んできた。
「離せよ」
そう言って男の手を自分の腕から引き離そうとしたが、男は更に強く掴んだ。そしてオレを笑いながら見つめてくる。
「あんた、暁の人間だろ?」
男の口調が変わったが、表情は相変わらず笑みを浮かべている。この男も殺し屋なんだと思った。
…だが何で暁を知ってやがる。
「裏の世界ではあんた達有名なんだよ、最上額の賞金首としてね。」
オレは懸命に男の手を振り払おうとしたが、男の手はびくともしない。酔っ払っててうまく力が入らない。
武器も持たないで出てきたのは迂闊だった。
「でもあんたを売るなんてもったいないな。」
「やめろ…!」
そう言って男がオレのワインが残る首筋に口を付ける。酔いが醒めて行くのがわかった。
気持ちが悪い。角都以外のやつに触られるなんて最悪だ。でもなす術が無くてどうしようもなかった。
男が押し倒してきて、オレは怖くて目を瞑った。来るはずのない愛しい人の名前を心の中で呼び続けた。
その時だった。
「オレの連れに何してる」
それは角都の声だった。目を開けたらその男はいない…というより吹き飛ばされていた。
「角都ゥ…」
オレは間抜けな声でやつを呼んだ。ちょっと恥ずかしくなって直ぐに次の言葉を繋げた。
「なんでこんなところにいるんだよ。」
「情報収集をしていたらこの酒場によく来ると言われたのでな。あの男は賞金首だ。」
「え…」
何だよ…本当に金の話だったのか。
心配していた自分が馬鹿みたいだった。
「お前こそ何してるんだ。武器も持たずに。」
「さ、酒を飲んでただけだ。」
「ほう…弱いのにか?」
「オレだって飲みたくなるときがあんだよ!」
さすがに今までの心の葛藤を言えるはずがない。角都が女と遊んでいると思ってやけ酒をしていたなんて…。
やべぇ、かなり恥ずかしすぎる。
「飛段、宿に戻るぞ。」
角都が倒れていたオレに手を差し伸べた。オレは嬉しくて仕方がなかった。
立ち上がって吹き飛ばされた男の方を見た。角都は無視して歩き始めている。
「あれ…その男どうするんだ。」
「とても換金所に渡せるような状態じゃない。」
男の方をよく見れば悲惨な状態になっていた。上半身がぐちゃぐちゃだった。
「どうしてあんな殺し方したんだ。お前が探していた賞金首だったんだろ。」
オレは角都に問いかけた。
「わからないのか。」
「ああ。」
「…ならいい。」
「おい!」
オレは気になって仕方がなかったが、角都は断固として言ってくれない。
だからオレは宿へ戻るまでにずっとその理由は何だろうと考えていた。でもやっぱり思いつかない。
「やっぱりわかんねぇ。」
その様子を見て角都がため息をついていたような気がした。
おまけ
飛段のやつ…本当にわからないのか?
オレがどうしてお前に絡んできた男を八つ裂きにしたのかを。
お前が他の男と共にいるなんて許せる訳ないだろう。
あの時オレは自分でも信じられないくらい怒りが抑えられなかったのだ。
気がつけばもうあの男を吹き飛ばしていた。例えそれが狙っていた賞金首でも関係なかった。
オレは心底お前に惚れてるんだ。
「やっぱりわかんねぇ」
「…」
しかし、飛段にオレの気持ちが伝わるはずもなく。
ため息を漏らしたのは言うまでもない。
「あーむかつく」
オレを置いて行った角都への腹立ちが収まらない。と同時にどうしようもなく傷ついてる自分が嫌になった。
あいつは男だ。フツーの男なら女に手を出す時だってあるだろ。
そう納得しようとしても、逆にその理由が自分を落胆させる。
オレはつくづく角都に惚れてんだ。
早くオレはこの憂鬱な気持ちを晴らすべく、たまたま目に付いた酒場に入った。
ほの暗くて青白いライトが照らされている洒落た場所だった。
「ワインをくれ。」
「はい、かしこまりました。甘さはいかがいたしましょう。」
「一番甘いのを。」
カウンター席に座って酒を頼む。きつい酒ばかりを飲んだので、甘い酒が欲しかった。
差し出されたボトルからグラスにワインを注ぐ。赤紫色が青白い空間の中で輝いている。オレは一気に飲み干した。飲みきれなかった分が顎から首に伝ったが気にしなかった。
ワインはアルコールを感じさせなくて、ただ葡萄の甘さだけが口に広がった。それがオレには心地よかった。朗らかな酔いがオレを襲うのだ。
「1人で飲んでいるのかい。」
しばらく飲んでいると突然背後から話しかけられた。振り返ればいかにも夜の街で生きていそうな顔立ちの良い男が立っている。
男はオレの隣に座ってきた。オレは相手にしたくなかったので無視してワインを飲み続けた。
「君、ワインが似合うね。君の瞳が赤いからかな。」
微笑みながらこっちを向いて言って来る。ぞっとした。きっとこいつも酔っ払ってんだと思った。
しつこそうなやつだったので、オレは最後の一口を飲んで金を払って出ようとした。
「一緒に飲みなおさないか。」
「…うるせぇな」
オレは足早に酒場を出た。さっさと宿へ戻ろうとしたのだ。
しかしその男は後を追ってきてオレの腕を掴んできた。
「離せよ」
そう言って男の手を自分の腕から引き離そうとしたが、男は更に強く掴んだ。そしてオレを笑いながら見つめてくる。
「あんた、暁の人間だろ?」
男の口調が変わったが、表情は相変わらず笑みを浮かべている。この男も殺し屋なんだと思った。
…だが何で暁を知ってやがる。
「裏の世界ではあんた達有名なんだよ、最上額の賞金首としてね。」
オレは懸命に男の手を振り払おうとしたが、男の手はびくともしない。酔っ払っててうまく力が入らない。
武器も持たないで出てきたのは迂闊だった。
「でもあんたを売るなんてもったいないな。」
「やめろ…!」
そう言って男がオレのワインが残る首筋に口を付ける。酔いが醒めて行くのがわかった。
気持ちが悪い。角都以外のやつに触られるなんて最悪だ。でもなす術が無くてどうしようもなかった。
男が押し倒してきて、オレは怖くて目を瞑った。来るはずのない愛しい人の名前を心の中で呼び続けた。
その時だった。
「オレの連れに何してる」
それは角都の声だった。目を開けたらその男はいない…というより吹き飛ばされていた。
「角都ゥ…」
オレは間抜けな声でやつを呼んだ。ちょっと恥ずかしくなって直ぐに次の言葉を繋げた。
「なんでこんなところにいるんだよ。」
「情報収集をしていたらこの酒場によく来ると言われたのでな。あの男は賞金首だ。」
「え…」
何だよ…本当に金の話だったのか。
心配していた自分が馬鹿みたいだった。
「お前こそ何してるんだ。武器も持たずに。」
「さ、酒を飲んでただけだ。」
「ほう…弱いのにか?」
「オレだって飲みたくなるときがあんだよ!」
さすがに今までの心の葛藤を言えるはずがない。角都が女と遊んでいると思ってやけ酒をしていたなんて…。
やべぇ、かなり恥ずかしすぎる。
「飛段、宿に戻るぞ。」
角都が倒れていたオレに手を差し伸べた。オレは嬉しくて仕方がなかった。
立ち上がって吹き飛ばされた男の方を見た。角都は無視して歩き始めている。
「あれ…その男どうするんだ。」
「とても換金所に渡せるような状態じゃない。」
男の方をよく見れば悲惨な状態になっていた。上半身がぐちゃぐちゃだった。
「どうしてあんな殺し方したんだ。お前が探していた賞金首だったんだろ。」
オレは角都に問いかけた。
「わからないのか。」
「ああ。」
「…ならいい。」
「おい!」
オレは気になって仕方がなかったが、角都は断固として言ってくれない。
だからオレは宿へ戻るまでにずっとその理由は何だろうと考えていた。でもやっぱり思いつかない。
「やっぱりわかんねぇ。」
その様子を見て角都がため息をついていたような気がした。
おまけ
飛段のやつ…本当にわからないのか?
オレがどうしてお前に絡んできた男を八つ裂きにしたのかを。
お前が他の男と共にいるなんて許せる訳ないだろう。
あの時オレは自分でも信じられないくらい怒りが抑えられなかったのだ。
気がつけばもうあの男を吹き飛ばしていた。例えそれが狙っていた賞金首でも関係なかった。
オレは心底お前に惚れてるんだ。
「やっぱりわかんねぇ」
「…」
しかし、飛段にオレの気持ちが伝わるはずもなく。
ため息を漏らしたのは言うまでもない。
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