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煌く原子の光に飛び込もう
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皮膚だけじゃ足りねェ。
骨まで彫ってくれ。

天然ドMなローさんと彫師の精神上のアングラセックス


彫られているとき、自分はどうしようもなく痛いのが好きだということを実感する。アンタ、痛いの平気なんだな。今まで彫られたどの彫師にもそう言われてきた。最初に彫ったのは両肩で、ついで二の腕だった。だが、それらを彫ったときの痛みは大したものではなく、更なる痛みを求めて手の甲まで彫ることにした。彫師は針に墨をつけ、迷いも躊躇もなくおれの手の甲を刻み付ける。薄っぺらい皮膚を犯していく針。まるで機械でも作るかのように、無機質で残酷な針が己の皮膚を壊しては再生していく。おれは骨すらも削って欲しいと思ってしまう。ああ、骨にタトゥーを入れてェ。死んでも残る骨、骨、骨。きっと心臓を打ち抜かれるよりキモチイイぜ。

「アンタ、痛いの平気なんだな」

反吐が出るほど聞いたその言葉を笑って返した。ああ、そうだよ。痛いのがたまらないんだ。
もっともっと彫ってくれよ。おれの中にねじ込んでくれよその針を。脳内に響く機械音でおれはすぐにでもイけそうだった。もう女なんて抱く気がおきない。ただ、彫られたいんだ。

「動くんじゃねェぞ」

墨入れが進むに連れて、彫師はまるで何かが乗り移ったかのように乱暴で荒くなっていく。どの彫師もそうだ。人の肌を傷つけるという作業が彫師の心に潜むサディステックな感情を呼び起こすのだとおれは解釈している。長時間、狂ったように肌を犯し続けるんだ。頭がイカれちまうのも無理はない。イカれちまうのは彫られているおれも同じだ。

「手ェ伸ばせよ、オラ」

日常の中では人に命令されることが嫌で嫌で仕方がないのに、こうやって彫師に命令されるのは嫌じゃない。ゾクゾクする。おれも彫師と同じように心に潜むマゾヒスティックな感情を呼び起こしてしまってんのか。もう自分がどうしようもなく価値のない人間に感じられた。そう思うことすらも、快感だった。

「泣き叫ぶんじゃねェぞ」

そう鬼畜に呟いて彫師は指の付け根に文字を入れだした。最も骨に近い皮膚だ。

「ああ・・・いてェ・・・」
「とんでもねェマゾだな!」

クククと笑う彫師の声なんてもう届かなかった。おれに響くのは遠慮を知らぬ機械音だけだった。ああ。もどかしい。もう少し、もう少しだ。骨にまで届くまであと少し。

「なァ」

死んでも無様に残る骨(はだか)のおれを彫ってくれよ。

Fin



彫られることは掘られること。
密室で彫師に皮膚を犯されるのは、とてつもなくエロスティックだと思います。

甘すぎる自分の作風に時折嫌気がさしてしまうことがあります。「甘すぎて反吐がでる」と皆様に思われているのではないかと泣きたくなります。気分転換に、これからはアングラな話も書いていこうと思います。

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