煌く原子の光に飛び込もう
Make Me a Puppet
眠るサソリを見て。
(NARUTO デイダラ×サソリ)
眠るサソリを見て。
(NARUTO デイダラ×サソリ)
「旦那…大丈夫かい?」
「あぁ、たいしたこと無い。」
旦那はそうやって強がっているが、連日の任務で旦那の体はボロボロだった。
原因は今回の任務が海の近くだったためである。塩っ気のある風に加え湿った空気がヒルコをも通り抜け旦那の体を侵食していったのだ。体には錆に強い金属を使ってはいたものの、細かい部品を使う関節の繋ぎ目はどうも塩に負けて錆びてしまったようだ。
ある程度動けるが、とてもじゃないが戦えない。何よりも旦那は指先の一部をやられていた。
オイラは平然を装う旦那を急かして急いでアジトに戻った。
このアジトというのはオイラ達がそれぞれ芸術作品を制作するための場所だ。当初は旦那が個人用で使っていた場所だったらしいが、いつしかオイラも一緒に使わせてもらうようになっていた。広い部屋が一つあるだけのまさにアトリエのような所だ。
旦那はすぐに体のメンテナンスを始めた。別に造ってあった体に移り、自分の体だったモノを慎重に検査してゆく。
旦那の顔が強ばった。
「これはやべぇな…点々と細かい所に錆が広がってやがる。」
旦那の視線の先を見れば、確かに関節の溝の部品には無数の黒い斑点があった。錆びてる証拠だ。
「本当だ…うん。」
「これでもかなり錆に強い金属なんだぜ?くそっ…やっぱりこういう溝は水がたまりやすいのか。全部チェックして一回取り除かないと広がっちまう。最低でも三日は休めねぇな。」
「オイラも手伝うぞ?」
「あぁ、頼む。」
手伝うといっても…オイラは道具を調達したり整理したりするぐらいだった。旦那は部屋の隅の机上で作業をしている。オイラには傀儡造りはわからないし、何よりも旦那の秘密とも言うべき仕込みを覗こうとは思わなかったのでその後ろ姿を時折眺めながら、自分も制作に打ち込んでいた。
メンテナンスを始めてもう丸二日が経った。オイラは一度睡眠をとったが、旦那は一睡もせずに作業をしていたようだ。相変わらず集中している。
確かに傀儡という体は痛みが無いから無理を続けることができる。しかし疲れは十分に溜まっているはずだ。
「旦那…ちょっとは休んだらどうだ?うん?」
「休めるか。まだ半分しかいってねぇんだよ!」
小さい部品と睨み合いを続けて旦那はいつも以上に短気になっていた。
旦那…休んでおくれよ。
そう思った矢先だった。
「旦那!」
ついに旦那は倒れてしまった。オイラは瞬時に旦那を支えた。
旦那は静かに眠っていた。
「この体でも倒れちまうんだな、うん。」
支えた旦那の体は氷のように冷たい。まるで本当の人形のようだ。
「サソリの旦那…」
眠る顔はまだあどけなさが残る。
こんな若い頃に自分の体を捨てちまって。ぬくもりを失っちまって。
自分を傀儡にしてしまうのは、いかにも芸術家らしい。
でもその顔はどこか寂しげだ。
…旦那はずっと一人で傀儡と向き合って生きてきたんだ。いつもこうやって徹夜を繰り返し無理をしていたのだろう。
不意に、静かにこの部屋で誰にも気づかれることなく倒れる旦那を想像した。
と同時にどうしようもなくオイラは悲しい気持ちになった。
「全く、無理するなよ。オイラが死んだら、こうやって支えてやれないんだぜ?」
旦那が永久を追求する限り、確実にオイラが先に死ぬだろう。
でもその時は。
「死んだら…旦那の傀儡にしてくれよな」
静かに眠る愛する人に、そうつぶやく。
旦那が寂しくないように
ずっとそばにいるよ。
「あぁ、たいしたこと無い。」
旦那はそうやって強がっているが、連日の任務で旦那の体はボロボロだった。
原因は今回の任務が海の近くだったためである。塩っ気のある風に加え湿った空気がヒルコをも通り抜け旦那の体を侵食していったのだ。体には錆に強い金属を使ってはいたものの、細かい部品を使う関節の繋ぎ目はどうも塩に負けて錆びてしまったようだ。
ある程度動けるが、とてもじゃないが戦えない。何よりも旦那は指先の一部をやられていた。
オイラは平然を装う旦那を急かして急いでアジトに戻った。
このアジトというのはオイラ達がそれぞれ芸術作品を制作するための場所だ。当初は旦那が個人用で使っていた場所だったらしいが、いつしかオイラも一緒に使わせてもらうようになっていた。広い部屋が一つあるだけのまさにアトリエのような所だ。
旦那はすぐに体のメンテナンスを始めた。別に造ってあった体に移り、自分の体だったモノを慎重に検査してゆく。
旦那の顔が強ばった。
「これはやべぇな…点々と細かい所に錆が広がってやがる。」
旦那の視線の先を見れば、確かに関節の溝の部品には無数の黒い斑点があった。錆びてる証拠だ。
「本当だ…うん。」
「これでもかなり錆に強い金属なんだぜ?くそっ…やっぱりこういう溝は水がたまりやすいのか。全部チェックして一回取り除かないと広がっちまう。最低でも三日は休めねぇな。」
「オイラも手伝うぞ?」
「あぁ、頼む。」
手伝うといっても…オイラは道具を調達したり整理したりするぐらいだった。旦那は部屋の隅の机上で作業をしている。オイラには傀儡造りはわからないし、何よりも旦那の秘密とも言うべき仕込みを覗こうとは思わなかったのでその後ろ姿を時折眺めながら、自分も制作に打ち込んでいた。
メンテナンスを始めてもう丸二日が経った。オイラは一度睡眠をとったが、旦那は一睡もせずに作業をしていたようだ。相変わらず集中している。
確かに傀儡という体は痛みが無いから無理を続けることができる。しかし疲れは十分に溜まっているはずだ。
「旦那…ちょっとは休んだらどうだ?うん?」
「休めるか。まだ半分しかいってねぇんだよ!」
小さい部品と睨み合いを続けて旦那はいつも以上に短気になっていた。
旦那…休んでおくれよ。
そう思った矢先だった。
「旦那!」
ついに旦那は倒れてしまった。オイラは瞬時に旦那を支えた。
旦那は静かに眠っていた。
「この体でも倒れちまうんだな、うん。」
支えた旦那の体は氷のように冷たい。まるで本当の人形のようだ。
「サソリの旦那…」
眠る顔はまだあどけなさが残る。
こんな若い頃に自分の体を捨てちまって。ぬくもりを失っちまって。
自分を傀儡にしてしまうのは、いかにも芸術家らしい。
でもその顔はどこか寂しげだ。
…旦那はずっと一人で傀儡と向き合って生きてきたんだ。いつもこうやって徹夜を繰り返し無理をしていたのだろう。
不意に、静かにこの部屋で誰にも気づかれることなく倒れる旦那を想像した。
と同時にどうしようもなくオイラは悲しい気持ちになった。
「全く、無理するなよ。オイラが死んだら、こうやって支えてやれないんだぜ?」
旦那が永久を追求する限り、確実にオイラが先に死ぬだろう。
でもその時は。
「死んだら…旦那の傀儡にしてくれよな」
静かに眠る愛する人に、そうつぶやく。
旦那が寂しくないように
ずっとそばにいるよ。
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