忍者ブログ
煌く原子の光に飛び込もう
| Home | About | Caution | SS | My lovely jewel | Log | Other |
[116]  [115]  [114]  [113]  [112]  [111]  [110]  [109]  [108]  [107]  [106
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

なくす

アンタは何をなくしたというのか。

(NARUTO 角都×飛段)
鼓を叩く音が聞こえる。
それに伴って叫び声と爆裂音。
オレ達が山を駆け抜けるその下で、それらはひしめき合う。

「戦だな。」
「あぁ、そうみてぇだ。」
「・・・」

角都はそれっきり黙ってしまった。
オレは尻目に角都の横顔をのぞく。
翠色の目が、いつもより深い色に見える。こりゃあ何か物思いにふけってやがるな。

うーん、理解できねぇ。
なぁ、かくずー。
お前、何考えてんだよ。

「なぁなぁ。」
「何だ。」
「アンタ何考えてんだよ。」
「・・・別に何も考えてなどおらん。」

嘘つけ。

「嘘つくんじゃねぇよ。お前嘘つく時はいつもこっちむかねぇのな。」

なぁ、教えろよー。
そう言う前に角都はボソッとつぶやいた。

「戦などしても、ただ虚しいだけだ。」
「へっ・・・賞金稼ぎのいう言葉かねぇ。」
「一人で突っ走ってきたお前にはわからんだろう。」
「まぁな。」

オレは死ぬことのない体だからなぁ。
戦場に赴くっていうよりも、いつもジャシン様への貢物作りに精を出してたような気がする。
ただただ、周囲のことなんて気にせずに祈りを捧げていたんだ。

「戦をして残るものなど何もない。なくすだけだ。」
「アンタになくすものなんてあるのか?」
「・・・」

オレはそれ以上言及することはしなかった。
でも、角都の「なくす」という言葉はずっと引っかかったままだった。

オレにとって戦場とは「得る」ものばかりだった。
ジャシン様への貢物。ジャシン様への更なる忠誠心。

なぁ角都。アンタだって「得る」ものばかりじゃないのか?
金と心臓。アンタが大事にしているものが手に入るじゃないか。

それよりも、大事なものがあったのか?
なぁ角都。教えてくれよ。
PR
カウンター
アクセス解析
Powered by Ninja Blog Photo by 戦場に猫 Template by CHELLCY / 忍者ブログ / [PR]