代償

代償

全てのものの根源には
代償がある

(NARUTO 角都×飛段)

「角都、祈りの時間だ。ちょっと待っててくれよ。」
「…お前は飽きもせず神を信じるのだな。」
「ジャシン様はオレを生かし続けてくれるからな。」

オレは不死身を得た。
無信という自由を代償に。

神の紋章を地に描き
神の紋章を血で描き
神の紋章の上で死ぬ

「ぐっ…」

声にならない声を出して血を吐く。
一定のリズムで鳴っていた心臓を潰す。

「気持ちいいぜ…全くよォ。」
「戯言を言うな。」

オレは不死身を得た。
痛むことの無い世界を代償に。

倒れるオレの上で美しい蒼天がどこまでも広がる。
意識が朦朧としてきた。

ふと、このまま死ぬのではないかという不安がよぎる。

死にたくない
死にたくない
死にたくない

閉じそうな瞼に映ったのは黒い影。
２つの翡翠が光っている。
それは、あいつの瞳。

そっと手を伸ばし
あの美しい紅い糸で
オレの傷をふさいでゆく


代償にしたのは
死ぬことを恐れぬこころ

得たものは
絶えぬ切ない恋ごころ