煌く原子の光に飛び込もう
梅の花
鮮やかな色彩が目を襲う。
(NARUTO 角都×飛段)
鮮やかな色彩が目を襲う。
(NARUTO 角都×飛段)
たまたま通りかかった街で市場が開かれていた。「早春市」と書かれた旗が棚引いている。梅の木があちこちにあり見事に花を咲かせていて、おそらくそれにちなんだ市なのだろう。
晴れた休日の昼時ということもあってか人が多く行き交っている。露店が通りをひしめき合い、新鮮な食物の香りが漂っていて食欲をそそられる。
「いい香りがするなぁ」
それは飛段も同じだったようだ。
足早に人ごみの中へ入っていくやつを見失わないために、自らもまたその中へ入った。
人が密集して動き回っていた。頭だけがオレの目に飛び込んでくるので何か別の生き物が這いずり回っている様に見えてしまう。人気の多い所は好きではない。
しかし飛段はどこか楽しそうに店を物色している。
「何か果物が食いてぇな。喉がカラカラだ。」
オレは無言で頷いた。確かに何か水分が多い果物が欲しい。
冬独特の乾燥した空気に喉は悲鳴を上げていた。
「あっ、果物が売ってるぜ。」
少し先の店に台から溢れんばかりの果物が並べられていた。
鮮やかな色彩に目を襲われた。
絵の具でも散りばめた様な果実の色。
青天の下、それらは原色の光を帯びている。
「角都、この林檎うまそうじゃねぇ?」
そこにスッと現れた白い手。
白い手は真っ赤な林檎を掴もうとしている。
鮮やかな色彩の中に現れた、その美しい白。
オレは思わず眩暈を感じてしまった。
「なぁ角都ゥ、答えてくれよ」
「あ、ああ…。」
飛段の言葉に我を取り戻したが濁った返答しかできなかった。
やつはオレの同意を聞いて微笑んだ。
「じゃあ決定だな。おやじ、林檎二つ。」
買い物をさっさと終わらせて飛段は歩き始める。オレはといえば先刻の情景が頭を離れずにいて心が落ち着かない。
白い手の残像が、瞼の裏から離れないのだ。
飛段は人ごみを切り抜けて近くにあった大きな梅の木の下に座り込んだ。早く喉を潤したかったのだろうか。
「角都、ほらよ」
林檎を受け取りながらオレは隣に座った。
赤い皮ごとかじる。果汁が喉を潤してゆく。爽やかな甘さが口に広がって心地が良い。
「この林檎うめぇな!」
「珍しくお前の勘が当たったようだな。」
「`珍しく`は余計だ。」
拗ねた声を上げて、飛段は更に林檎にかぶりついた。
「あー、うまかったぁ」
しばらくすると飛段は林檎を食べ終えて、満足したように背伸びをした。
そして木を見上げる。
「梅の花が真っ白だ。」
梅の花が盛大に頭上で咲いている。
枝に積もる雪のような花だ。
その色でオレはあの飛段の白い手を思い出した。
「お前の手のほうが白い。」
飛段の手を引き寄せる。
梅の花に負けないほどの白さに加え、先ほどの林檎の果汁で艶っぽくなっている。
オレはその妖艶な手に口付けをした。
「かっ、角都…」
「オレはお前につくづく惚れているのだな。」
その手でさえも、オレを狂わしてしまうのだから。
晴れた休日の昼時ということもあってか人が多く行き交っている。露店が通りをひしめき合い、新鮮な食物の香りが漂っていて食欲をそそられる。
「いい香りがするなぁ」
それは飛段も同じだったようだ。
足早に人ごみの中へ入っていくやつを見失わないために、自らもまたその中へ入った。
人が密集して動き回っていた。頭だけがオレの目に飛び込んでくるので何か別の生き物が這いずり回っている様に見えてしまう。人気の多い所は好きではない。
しかし飛段はどこか楽しそうに店を物色している。
「何か果物が食いてぇな。喉がカラカラだ。」
オレは無言で頷いた。確かに何か水分が多い果物が欲しい。
冬独特の乾燥した空気に喉は悲鳴を上げていた。
「あっ、果物が売ってるぜ。」
少し先の店に台から溢れんばかりの果物が並べられていた。
鮮やかな色彩に目を襲われた。
絵の具でも散りばめた様な果実の色。
青天の下、それらは原色の光を帯びている。
「角都、この林檎うまそうじゃねぇ?」
そこにスッと現れた白い手。
白い手は真っ赤な林檎を掴もうとしている。
鮮やかな色彩の中に現れた、その美しい白。
オレは思わず眩暈を感じてしまった。
「なぁ角都ゥ、答えてくれよ」
「あ、ああ…。」
飛段の言葉に我を取り戻したが濁った返答しかできなかった。
やつはオレの同意を聞いて微笑んだ。
「じゃあ決定だな。おやじ、林檎二つ。」
買い物をさっさと終わらせて飛段は歩き始める。オレはといえば先刻の情景が頭を離れずにいて心が落ち着かない。
白い手の残像が、瞼の裏から離れないのだ。
飛段は人ごみを切り抜けて近くにあった大きな梅の木の下に座り込んだ。早く喉を潤したかったのだろうか。
「角都、ほらよ」
林檎を受け取りながらオレは隣に座った。
赤い皮ごとかじる。果汁が喉を潤してゆく。爽やかな甘さが口に広がって心地が良い。
「この林檎うめぇな!」
「珍しくお前の勘が当たったようだな。」
「`珍しく`は余計だ。」
拗ねた声を上げて、飛段は更に林檎にかぶりついた。
「あー、うまかったぁ」
しばらくすると飛段は林檎を食べ終えて、満足したように背伸びをした。
そして木を見上げる。
「梅の花が真っ白だ。」
梅の花が盛大に頭上で咲いている。
枝に積もる雪のような花だ。
その色でオレはあの飛段の白い手を思い出した。
「お前の手のほうが白い。」
飛段の手を引き寄せる。
梅の花に負けないほどの白さに加え、先ほどの林檎の果汁で艶っぽくなっている。
オレはその妖艶な手に口付けをした。
「かっ、角都…」
「オレはお前につくづく惚れているのだな。」
その手でさえも、オレを狂わしてしまうのだから。
PR