煌く原子の光に飛び込もう
満月
この落ちてきそうな満月の下でお前は孤高な狼になるのか。
(NARUTO 角都×飛段)
この落ちてきそうな満月の下でお前は孤高な狼になるのか。
(NARUTO 角都×飛段)
暑い季節が少し顔を出してきた。天候は不順で雨を降らせたかと思えば突如晴れる。その不規則性はオレをイライラさせるが、雨が降れば降るほどあいつの儀式の回数は減る。あいつの悪趣味で痛々しい儀式を見なくて済むのである。その点ではこの天候も悪くない。
今日は生憎の雲ひとつ無い月夜だ。昼間はあれほど雨が降っていたのに。
こんな美しい夜にあいつの歪めた顔を見なければならないのか。そう思うと胸が痛んだ。
出会った頃はあの儀式を見るのは何でもなかったのに、この感情に気付いてからは日に日に苦痛なものになっていった。
「おい角都見てみろよ。可笑しいぐらいに月が綺麗だ。」
飛段はそう言いながら立ち止まった。夜の林は静かだ。
奴はじっと月を見ている。まるで心はそこには無いかのように、月に吸い込まれそうな顔をしている。
「お前は狼にでもなるのか。」
らしくないことを言った。だが本当に奴は別のものになりそうだったのだ。
オレは不意に血まみれの狼を想像した。他の動物の血に塗れる狼を。
ところが奴はただただ月を見て呟くのだった。
「いいや、オレはさながら狼に食われる兎だ。」
奴はたまに意味の取れない言葉を口にする。お前が兎なら、お前に呪い殺される連中は何なのだ。せいぜい潰される蟻なのか。
そんな疑問が頭をよぎったが全く無意味なことだった。奴の言葉は一見単純そうで、その奥は酷く深いのだから。
「オレ、『不死』って狼に食われ続けてんだよ。どんなに生きる事から逃げたって捕まっちまうんだ。」
「…そうか。」
お前は不死から逃げることが出来ないのだな。たとえ一片の肉になろうとも生きなければならないんだ。あぁ、確かにお前は狼に食われる兎だ。真っ白で紅い瞳をした美しい兎。
オレはその兎の美しさに見惚れることだけしかできないのだ。
今日は生憎の雲ひとつ無い月夜だ。昼間はあれほど雨が降っていたのに。
こんな美しい夜にあいつの歪めた顔を見なければならないのか。そう思うと胸が痛んだ。
出会った頃はあの儀式を見るのは何でもなかったのに、この感情に気付いてからは日に日に苦痛なものになっていった。
「おい角都見てみろよ。可笑しいぐらいに月が綺麗だ。」
飛段はそう言いながら立ち止まった。夜の林は静かだ。
奴はじっと月を見ている。まるで心はそこには無いかのように、月に吸い込まれそうな顔をしている。
「お前は狼にでもなるのか。」
らしくないことを言った。だが本当に奴は別のものになりそうだったのだ。
オレは不意に血まみれの狼を想像した。他の動物の血に塗れる狼を。
ところが奴はただただ月を見て呟くのだった。
「いいや、オレはさながら狼に食われる兎だ。」
奴はたまに意味の取れない言葉を口にする。お前が兎なら、お前に呪い殺される連中は何なのだ。せいぜい潰される蟻なのか。
そんな疑問が頭をよぎったが全く無意味なことだった。奴の言葉は一見単純そうで、その奥は酷く深いのだから。
「オレ、『不死』って狼に食われ続けてんだよ。どんなに生きる事から逃げたって捕まっちまうんだ。」
「…そうか。」
お前は不死から逃げることが出来ないのだな。たとえ一片の肉になろうとも生きなければならないんだ。あぁ、確かにお前は狼に食われる兎だ。真っ白で紅い瞳をした美しい兎。
オレはその兎の美しさに見惚れることだけしかできないのだ。
PR