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煌く原子の光に飛び込もう
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Twilight On Mars

この火星の黄昏の中で

一つになろう




どうしたものだろう
お前に会うたびに
お前に溺れていく

敵同士なのに、お前と2人きりになるとその事実を忘れてしまう。
まるでどこか別の場所にいるように。


誰も寄り付かないような路地裏で待ち合わせをして、ユースタス屋の仲間に悟られないように船内に忍び込んだ。船長がお忍びで自分の船に入るのも何ともおかしな話だが。やつは「危ない橋渡りだ」と笑った。


他人の船の空気と、見つかってはならない緊張で体が少し強張る。殺気に触れるのとはまた違った緊張だ。見つかってしまったら全てが終わる。仲間を失うことになる。それが恐ろしくて、緊張が解けない。それを知ってか知らずか、ユースタス屋がおれの肩を抱く。やつの部屋は目前だ。

静かにドアを開けてやつはおれを部屋に入れた。
やつの部屋は船の西に面していて、ちょうど西日が部屋一面を赤く染めている。
派手な格好に似合わず、その部屋はなんとも無機質な造りだった。おそらく死角を作らない為だろう。

「トラファルガー」

赤い無機質な世界。
――ここは火星だ。
今この火星にはおれとお前だけがいる。

「来いよ」

どんな周囲の物だって見えやしない。
どんな周囲の音だって聞こえやしない。
おれの前に在るのは――お前だけだ。

声を聴くと同時にユースタス屋の胸に飛び込んだ。

「んっ」

齧り付くような口付けをされる。でもそれは決して暴力的じゃなくてどこか優しい。口を絡め、舌を絡める。唾液が混ざりあう音が脳内を刺激する。
深い口付けから放たれると、ユースタス屋の口がおれの耳元に近づいてきた。

「トラファルガー」

そう低い声で呼ばれると、嫌でも腰が反応する。

「もう感じているのか?」

そう言うとユースタス屋の口は首筋へと移る。
甘噛みされて、舌で舐められ、最後に口づけをされる。


「っ…はぁっ…」

吐息が漏れてしまう。
やつの逞しい体に一層強く抱きつく。やつの首筋に口を付ける。匂いを嗅ぐ。ユースタス屋の匂いがする。もう頭がおかしくなりそうだ。匂いだけでイっちまいそうだ。

「ユースタス屋ぁっ…」

泣きじゃくるガキみてェな弱い声を出した。

「キッドって呼べよ、ロー」

ユースタス屋にまた口付けをされる。口付けも腰に回される手も声も酷く優しい。

「キッド…」

おれもそれに応えるように素直に甘える。お前もおれも地球にいるときの自分とは違う自分を出せる。

だってここは火星だから。


ユースタス屋の右手がおれのジーパンのジッパーへ伸びる。ジッパーを開けて、下着をずらす。
そのゆったりとした動作がどうしようもなく長い時間に感じられて、恥ずかしくなっておれはやつに抱きついたままやつの首筋に顔を付けていた。

「触ってねェのにもうこんなになってやがる」

やつの手が陰茎の先端に触れる。そして扱かれる。

「…はぁっ…あっ…」

やつの耳元で息を漏らす。恥ずかしくて顔を見せたくないから一層やつにひっつく。
扱いている向こうからしてみれば大層窮屈だろう。

「そんなにひっつくなよ、やりずれェ」
「だって…顔を見られたくないっ…」
「てめェは処女か」

ククっと笑うと、抱きついたままのおれごとベッドに倒れる。
その衝撃でおれはやつから手を離した。

「お前のやらしい顔見せろよ」

お前こそやらしい顔してる。そんなことを思った矢先に、やつに強烈に陰茎を扱かれた。おまけにその先端を舌でなぞられる。そんなことをされたらっ・・・

「あっ…もうだめだっ…キッド…口離せ」
「いいぜっ…このまま出せ」
「あぁっ」

やつに言われるがままやつの口の中に果てた。

「キッド…そんな汚いの飲むなよっ…はぁっ」

おれの欲望の塊なんて飲むんじゃねェ!
お前が穢れちまうっ…

「ほんとお前は変なところで卑屈だなァ…」
「…だって…ほんとのことだろっ…」
「じゃあお前は汚いと思いながらおれの飲んでいるのか?」
「・・・お前のは別」
「なんだそりゃ」

ハハハと笑ってユースタス屋は仰向けになっているおれの両耳の隣に手をついて顔を近付ける。
部屋はもう暗くなっている。黄昏時だ。
火星にも黄昏なんてあるんだろうか。
そんな下らない疑問が頭に浮かんだが、すぐにやつの口付けとともに消え去った。

「キッド」
「なんだ」
「お前が好きだ」
「おれも」

素直になってもいいよなァ、ユースタス屋。

だって、ここは火星なんだから。

Fin


最後まで読んで下さってありがとうございます。
題名は私の好きな曲からとりました♪
時間的に「朝方のシンデレラ」の前の話です。
エロいの書くのって難しい(´ω`)
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