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煌く原子の光に飛び込もう
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壊血病

お前が足りない
ちゃんと補給してくれ


テーブルの上に無造作に置いてあったのは、薄茶色の紙袋だった。
そこからは甘酸っぱい匂いが漂う。オレンジだ。

「買ってきたのか」
「ああ、壊血病にならんためにな」

お前の口からそんな病名が出てくるとは思わなかった。
・・・なんて言ったらお前は怒るんだろうな。
ユースタス屋はその大きな掌で、橙色の物体を取った。
そしてそれを口に運び、齧る。果汁が飛び散る。

「お前も食うか」
「甘酸っぱいものは苦手だ」

おれの顔をやつはじっと見つめる。
見つめながら、更に果肉を齧る。やつの逞しい腕に果汁が伝っていく。

そして、瞬く間に視界が奪われる。

「――んっ」

口一杯に甘酸っぱさが広がる。
ユースタス屋の唇とおれの唇から果汁が溢れ出す。
口を離すとやつは耳元で呟いた。

「好き嫌いはするもんじゃねェよ。栄養が足りなくなっちまうぞ」

どくどくと血が流れるように
お前はおれから流れていく
どんなに近づいたって
どんなに口付けを交わしたって
お前はおれから流れていく

「おれにはお前が足りない」

ちゃんと、補給してくれよ。

Fin


生/物/化/学の授業でとある言葉に萌えて思いつきました。
詳しくは後ほど。


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