煌く原子の光に飛び込もう
Insects Love
もっと素直になれよ
たまにはあっまーいキドロでもいかがでしょー(´∀`)
もっと素直になれよ
たまにはあっまーいキドロでもいかがでしょー(´∀`)
◆
シャボンディ諸島でトラファルガーと出会って数日が経ったが、とにかくこいつはツンツン野郎だ。
他人から馬鹿にされることを極端に嫌うためか、自分自身が一番己を蔑んでやがる。
だから理想の自分を持ちすぎていて、素直じゃない。
なんのこたぁない、とんだカッコつけ野郎だ。
「おい、トラファルガー飲みに行こうぜ」
「なんでお前と飲みに行かないといけねェんだ」
「いいから早く行くぞ」
「おいっ!」
ヤツの腕を引っ張って、繁華街を駆け抜ける。
うまそうな肉の焼く匂い、酔っ払いどもの騒ぐ音にグラスとグラスが交わされる音。街の全てが夜の帳が下りると共に煌きを増す。そんな中を、億越えのルーキー2人が駆け抜けるなんて最高に愉快だ。
ふと、トラファルガーの顔を尻目に覗く。
あれだけ嫌そうなことを言っていたくせに黙って着いてきやがる。
やっぱこいつ天邪鬼なんだな。
無理にこいつを誘ったのには訳があった。
実は初めて会ったときも全く同じようにやつを誘ったのだが、そのときもさっきと同じ具合で断られた。
おれはそんな深い意味で誘ったわけじゃなかった。おれと同じように様々な危機を掻い潜ってきた他の連中の話に興味があっただけだ。
まぁ、敵同士だし仕方ねェかと思って気にも止めずその場を去って、結局キラーと飲みに行ったのだが。
その後が大変だった。
やつの船員が押しかけてきたのだ。
『ユースタス!お前うちの船長に何かやったのか?』
『ああ?何もやってねェよ。飲みの誘いを断られたぐれェだ・・・』
『はぁ・・・それだ』
『?』
『だからうちの船長、今船でめちゃくちゃ不機嫌で暴れてんだなぁ・・・はぁ・・・』
そういうやつの船員の言うところがわからず、困惑しているとキラーがおれの肩を叩いた。
『トラファルガーのやつ、キッドと飲みたかったんじゃないのか?』
繁華街の先にある一軒の飲み屋。
森の中の大きな木々たちに囲まれて構えている。
おれがここを選ぶのには訳があった。
「さっ飲むぞ」
「仕方ねぇな・・・」
天邪鬼なやつの言葉を相手にせず、ずかずかと店内に入る。
「!」
「よぉ親父、今日も景気がいいな」
「まぁな、虫は男のロマンってもんだ」
おれがここを選ぶ訳・・・虫が店内にディスプレイされているのだ。ま、森の中だからディスプレイじゃない”スペシャルゲスト”もいるんだがな。
故郷が南の海だったためかどうも昆虫や両生類が好きだ。だからこの店を見つけたとき子供みてェに喜んでしまった。そしてここの親父とも仲良くなっちまったって訳だ。
他愛のない話を店の親父として、酒を頼もうとメニューに目を向ける。
「おいお前何がいい?」
「・・・ユースタス屋と一緒のでいい」
「あ、ああ・・・」
トラファルガーの様子がおかしい。
妙にソワソワしている。
本人はそのソワソワ感を隠しているつもりだろうが、隠しきれてない。
一体どうしたってんだ?
ビールを2つ頼み終え、背の高い丸いテーブルの側に行く。
この店はスタンディング・バーで、カウンター席以外に椅子はない。
無論小さいテーブルを境に正面で向き合うわけだが・・・
「トラファルガー?」
「・・・」
やっぱおかしい。全然おれの話を聞いてねェ!
あちこち店内を見回してやがる。
なんなんだてめェは!
「おいてめェ・・・ちったあおれの話を――」
「っ!!!!」
「おっ!?」
文句を言おうとした矢先、やつはおれの羽織の左右を両手でぎゅっと握った。
おいおいおい
テーブル越しに何をやってんだお前は。喧嘩売ってんのか?
「お前、殺されてェのか」
「・・・」
「何か言ったらどうなんだよ!」
「・・・今、何か飛んだ」
「あぁん?」
羽織を握る手が震えている。
ふと店の照明を見ると、甲虫が一匹止まってる。
甲虫がまた飛んだ。するとトラファルガーの身体がビクッと脈打つ。
「っ・・・」
「お前・・・もしかして虫が嫌いなのか?」
「だったら悪いかよユースタス屋ァ!!!」
あのツンツンのスカした野郎が、おれの胸倉掴んで震えてる。
甲虫が飛ぶのを見たくないのか、俯いたままこっちを見ない。
白い帽子が目の前で震えてる。
おれがまもってやるよ
――なんて、柄にもねェこと思っちまった。
白い帽子をポンッと優しく叩く。
「そんな怖がらなくたってあいつらは何もしねェよ。心配すんな」
「だって気持ちが悪い」
顔を上げて出てきた顔はむすっとしたガキみてェな顔だった。
お前、そんな顔もできんだな。
もっとそうやって素直になれよ。
「ジュエリー・ボニーはここ連れてきたらすっげェ喜んだのにな」
「お前!あの女と飲んだのか!?」
「あ、ああ・・・ルーキーだから・・・」
「おれよりも先にあんな女と飲むなんて!・・・あっ」
「それはおれと飲みたかった、って捉えていいんだよな?」
遂にボロが出やがった。
大爆笑するおれを見て、トラファルガーは顔を真っ赤にして抗議していた。
Fin
◆
虫嫌いローたん(*´Д`)ハァハァ
きっと北の人だから虫なんてあんまり見たことないのさ。
ローの船員はお好みの人で。
シャボンディ諸島でトラファルガーと出会って数日が経ったが、とにかくこいつはツンツン野郎だ。
他人から馬鹿にされることを極端に嫌うためか、自分自身が一番己を蔑んでやがる。
だから理想の自分を持ちすぎていて、素直じゃない。
なんのこたぁない、とんだカッコつけ野郎だ。
「おい、トラファルガー飲みに行こうぜ」
「なんでお前と飲みに行かないといけねェんだ」
「いいから早く行くぞ」
「おいっ!」
ヤツの腕を引っ張って、繁華街を駆け抜ける。
うまそうな肉の焼く匂い、酔っ払いどもの騒ぐ音にグラスとグラスが交わされる音。街の全てが夜の帳が下りると共に煌きを増す。そんな中を、億越えのルーキー2人が駆け抜けるなんて最高に愉快だ。
ふと、トラファルガーの顔を尻目に覗く。
あれだけ嫌そうなことを言っていたくせに黙って着いてきやがる。
やっぱこいつ天邪鬼なんだな。
無理にこいつを誘ったのには訳があった。
実は初めて会ったときも全く同じようにやつを誘ったのだが、そのときもさっきと同じ具合で断られた。
おれはそんな深い意味で誘ったわけじゃなかった。おれと同じように様々な危機を掻い潜ってきた他の連中の話に興味があっただけだ。
まぁ、敵同士だし仕方ねェかと思って気にも止めずその場を去って、結局キラーと飲みに行ったのだが。
その後が大変だった。
やつの船員が押しかけてきたのだ。
『ユースタス!お前うちの船長に何かやったのか?』
『ああ?何もやってねェよ。飲みの誘いを断られたぐれェだ・・・』
『はぁ・・・それだ』
『?』
『だからうちの船長、今船でめちゃくちゃ不機嫌で暴れてんだなぁ・・・はぁ・・・』
そういうやつの船員の言うところがわからず、困惑しているとキラーがおれの肩を叩いた。
『トラファルガーのやつ、キッドと飲みたかったんじゃないのか?』
繁華街の先にある一軒の飲み屋。
森の中の大きな木々たちに囲まれて構えている。
おれがここを選ぶのには訳があった。
「さっ飲むぞ」
「仕方ねぇな・・・」
天邪鬼なやつの言葉を相手にせず、ずかずかと店内に入る。
「!」
「よぉ親父、今日も景気がいいな」
「まぁな、虫は男のロマンってもんだ」
おれがここを選ぶ訳・・・虫が店内にディスプレイされているのだ。ま、森の中だからディスプレイじゃない”スペシャルゲスト”もいるんだがな。
故郷が南の海だったためかどうも昆虫や両生類が好きだ。だからこの店を見つけたとき子供みてェに喜んでしまった。そしてここの親父とも仲良くなっちまったって訳だ。
他愛のない話を店の親父として、酒を頼もうとメニューに目を向ける。
「おいお前何がいい?」
「・・・ユースタス屋と一緒のでいい」
「あ、ああ・・・」
トラファルガーの様子がおかしい。
妙にソワソワしている。
本人はそのソワソワ感を隠しているつもりだろうが、隠しきれてない。
一体どうしたってんだ?
ビールを2つ頼み終え、背の高い丸いテーブルの側に行く。
この店はスタンディング・バーで、カウンター席以外に椅子はない。
無論小さいテーブルを境に正面で向き合うわけだが・・・
「トラファルガー?」
「・・・」
やっぱおかしい。全然おれの話を聞いてねェ!
あちこち店内を見回してやがる。
なんなんだてめェは!
「おいてめェ・・・ちったあおれの話を――」
「っ!!!!」
「おっ!?」
文句を言おうとした矢先、やつはおれの羽織の左右を両手でぎゅっと握った。
おいおいおい
テーブル越しに何をやってんだお前は。喧嘩売ってんのか?
「お前、殺されてェのか」
「・・・」
「何か言ったらどうなんだよ!」
「・・・今、何か飛んだ」
「あぁん?」
羽織を握る手が震えている。
ふと店の照明を見ると、甲虫が一匹止まってる。
甲虫がまた飛んだ。するとトラファルガーの身体がビクッと脈打つ。
「っ・・・」
「お前・・・もしかして虫が嫌いなのか?」
「だったら悪いかよユースタス屋ァ!!!」
あのツンツンのスカした野郎が、おれの胸倉掴んで震えてる。
甲虫が飛ぶのを見たくないのか、俯いたままこっちを見ない。
白い帽子が目の前で震えてる。
おれがまもってやるよ
――なんて、柄にもねェこと思っちまった。
白い帽子をポンッと優しく叩く。
「そんな怖がらなくたってあいつらは何もしねェよ。心配すんな」
「だって気持ちが悪い」
顔を上げて出てきた顔はむすっとしたガキみてェな顔だった。
お前、そんな顔もできんだな。
もっとそうやって素直になれよ。
「ジュエリー・ボニーはここ連れてきたらすっげェ喜んだのにな」
「お前!あの女と飲んだのか!?」
「あ、ああ・・・ルーキーだから・・・」
「おれよりも先にあんな女と飲むなんて!・・・あっ」
「それはおれと飲みたかった、って捉えていいんだよな?」
遂にボロが出やがった。
大爆笑するおれを見て、トラファルガーは顔を真っ赤にして抗議していた。
Fin
◆
虫嫌いローたん(*´Д`)ハァハァ
きっと北の人だから虫なんてあんまり見たことないのさ。
ローの船員はお好みの人で。
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