煌く原子の光に飛び込もう
影
頼むから何か言ってくれよ。
(NARUTO 角都×飛段)
頼むから何か言ってくれよ。
(NARUTO 角都×飛段)
長い影が角都の跡を引いている。辺りは夕暮れ時だ。
オレはその影を見つめながら歩いていた。ちょうど視界には影だけが入るような、そんな微妙な距離を保ちながら。
「…」
言い出そうとしても言い出せない。言葉が喉の奥で止まっている。
頭の中は悔しさと謝りたい気持ちでいっぱいだ。
先刻の戦闘でオレは危うく極秘書類である巻物を奪還されかけた。その上戦闘不能になり最後の最後まで角都に迷惑をかけてしまった。オレは角都の逆鱗に触れてしまったと思った。
ところが角都はオレを叱咤せずに傷を治して何も言わずに歩き始めたのだ。予期せぬやつの態度にオレはたじろいだ。
もしかしたら怒りが頂点に達していて、言葉が出ないのかもしれねぇ。
謝った方が良いに決まってる。でもなんだか怖くて近づけない。オレは遠慮しながら角都の後ろをそっと追っていた。
「なぁ…」
しかしさすがにもうこの距離と沈黙には堪えられなかった。
小さい声で角都を呼ぶ。当然聞こえるはずがない。自らがとったこの距離が途方も無く遠いものに感じた。
そんな風に黙ってんならいっそのこと、殴ってくれればいいのに。
不安が頭の中でぐるぐる回ってる。体が冷たくなって行くのがわかる。
少しずつ角都との距離が遠のいている。影が視界から消えていきそうだ。
角都がオレから離れていく。
そんなの絶対に嫌だ!
「頼むから何か言ってくれよ!」
オレは切羽詰った声で叫んだ。今まで抑えてきた感情が溢れ出てきたのだ。
角都がちっとも話してくれなくなるなんて、こんな辛いことねぇよ。
オレはずっと角都の影を見つめていた。影が動きを止めたのが分かった。
そして、その影がこちらへ近づいてくる。
角都の姿が視界に入ってきた。
顔は相変わらずの仏頂面で安心したが、なんだか何十年ぶりに見たような錯覚に陥った。
それくらい先ほどの時間が長く感じたのだ。
「角都…悪かった。とんだ失敗をしちまった。」
角都はじっとこちらを見つめている。
沈黙を破ることのないやつの次の行動が読めない。
「お前は馬鹿か」と言うのかもしれない。
黙って殴り飛ばされるかもしれない。
それとも…「もうお前とは組めない」と言われるかもしれない。
それが現実になるのを考えたくなくて、オレは目を強く瞑った。
こんなにも角都のことが好きだなんて自分でも信じられないが、オレはやつのいない世界なんてもはや考えられないのだ。
目の前が真っ暗で何も見えない。
角都の手の感触だけがオレの頬に伝わった。
殴られる…!
オレは更に目を瞑る力を強くした。殴られて当然のことをしたのだから避けようとはちっとも思わなかったが、予想される激痛を考えると顔が強張った。
「…っ!」
しかし、オレの体へ次に伝わってきたのは。
思わず目を見開けば角都の翡翠色が目前にある。
暖かな体温が、オレの唇に伝わってきたのだ。
今、オレ達の影は一つになっている。
オレはその影を見つめながら歩いていた。ちょうど視界には影だけが入るような、そんな微妙な距離を保ちながら。
「…」
言い出そうとしても言い出せない。言葉が喉の奥で止まっている。
頭の中は悔しさと謝りたい気持ちでいっぱいだ。
先刻の戦闘でオレは危うく極秘書類である巻物を奪還されかけた。その上戦闘不能になり最後の最後まで角都に迷惑をかけてしまった。オレは角都の逆鱗に触れてしまったと思った。
ところが角都はオレを叱咤せずに傷を治して何も言わずに歩き始めたのだ。予期せぬやつの態度にオレはたじろいだ。
もしかしたら怒りが頂点に達していて、言葉が出ないのかもしれねぇ。
謝った方が良いに決まってる。でもなんだか怖くて近づけない。オレは遠慮しながら角都の後ろをそっと追っていた。
「なぁ…」
しかしさすがにもうこの距離と沈黙には堪えられなかった。
小さい声で角都を呼ぶ。当然聞こえるはずがない。自らがとったこの距離が途方も無く遠いものに感じた。
そんな風に黙ってんならいっそのこと、殴ってくれればいいのに。
不安が頭の中でぐるぐる回ってる。体が冷たくなって行くのがわかる。
少しずつ角都との距離が遠のいている。影が視界から消えていきそうだ。
角都がオレから離れていく。
そんなの絶対に嫌だ!
「頼むから何か言ってくれよ!」
オレは切羽詰った声で叫んだ。今まで抑えてきた感情が溢れ出てきたのだ。
角都がちっとも話してくれなくなるなんて、こんな辛いことねぇよ。
オレはずっと角都の影を見つめていた。影が動きを止めたのが分かった。
そして、その影がこちらへ近づいてくる。
角都の姿が視界に入ってきた。
顔は相変わらずの仏頂面で安心したが、なんだか何十年ぶりに見たような錯覚に陥った。
それくらい先ほどの時間が長く感じたのだ。
「角都…悪かった。とんだ失敗をしちまった。」
角都はじっとこちらを見つめている。
沈黙を破ることのないやつの次の行動が読めない。
「お前は馬鹿か」と言うのかもしれない。
黙って殴り飛ばされるかもしれない。
それとも…「もうお前とは組めない」と言われるかもしれない。
それが現実になるのを考えたくなくて、オレは目を強く瞑った。
こんなにも角都のことが好きだなんて自分でも信じられないが、オレはやつのいない世界なんてもはや考えられないのだ。
目の前が真っ暗で何も見えない。
角都の手の感触だけがオレの頬に伝わった。
殴られる…!
オレは更に目を瞑る力を強くした。殴られて当然のことをしたのだから避けようとはちっとも思わなかったが、予想される激痛を考えると顔が強張った。
「…っ!」
しかし、オレの体へ次に伝わってきたのは。
思わず目を見開けば角都の翡翠色が目前にある。
暖かな体温が、オレの唇に伝わってきたのだ。
今、オレ達の影は一つになっている。
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