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煌く原子の光に飛び込もう
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ハローベイビー

旦那はもう泣けないんだ。

(NARUTO デイダラ×サソリ)
辺りは夕暮れ時で太陽が真っ赤になっていて、隣にいる旦那の髪のようだった。
オイラ達は帰路を急ぐ人の群れを尻目に今日泊まる宿屋へと足を運ばせている。この町は酷く平和で、オイラ達が失った何かに満ち溢れているのだ。

なぁ、旦那。オイラ達は何を無くしたんだろう。

本当に旦那に問いかけそうになってしまった自分を嘲笑っていると、親子連れが前方からこちらに向かっているのが見えた。母親に抱かれた赤子が球を持っていて、それを父親が優しい眼差しで見つめている。なんとも穏やかな情景だ。
「あら…」
母親が驚いた声をあげたと同時に赤子の球が落ちてオイラ達の方へ転がった。
転がる球を旦那は黙って取り上げた。オイラは旦那がそれを淋しそうに見つめる一瞬を見逃さなかった。
「ほらよ」
旦那は赤子の柔らかな手に球をのせた。その顔は今まで見たことがないくらい優しい。
「ありがとうございます」
一礼をすると彼らは通り過ぎて行った。オイラ達も彼らが来た道を歩き始める。まるでお互いに何事もなかったかのように。確かに何事もなかったのだけれど。
けれど旦那はあの親子を振り返って見つめていた。その目からは今にも涙が出てきそうだ。


この町はオイラ達が失った何かに満ち溢れている。
…旦那が失ったのは両親だ。

アンタはもう、泣けないんだよな。

オイラも振り返ってあの親子の後姿を見つめた。赤子は両親の暖かな手と眼差しに包まれていることだろう。
オイラはその時、あの赤子が旦那だったらどんなにいいだろうと本気で思った。
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