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煌く原子の光に飛び込もう
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文身

消えることのない文身
それは自分であることの証

消えることのない分身
それはあなたに見つけてもらうための印



おれが外から戻ってくると、トラファルガーはソファで足を組みながら本を読んでいた。
左手で本を持ち、右手は肘掛けに置いている。
おれはそっとやつのそばに近寄って、その右手を見つめた。
その手には黒く刻み込まれた模様が浮かんでいる。

「どうした、ユースタス屋」
「その文身」
「ああ」
「なぜ入れたんだ」

おれは文身をしたいと思ったことは一度もない。
文身は消えることのない証であり、一生それと共に生きていかなければならない。
そんな縛られる人生なんてまっぴらだ。
おれはありのままの自分でいたい。

トラファルガーは微笑を浮かべた。

「おれだという証明をつくるためだ」

海賊は海上で日々死と隣り合わせの中で生きている。
いつ海軍や賞金稼ぎに殺されてもおかしくない。
真っ先におれ達が奪われうもの――己の首だ。

「首を失ってもお前に見つけてもらいたいんだ」

この先、お前とは別の航路を辿っていくことになる。
お前とはなかなか会うことはないだろう。
でもな。
お前が苦しんでいるときはいつでもお前に会いに行ってやる。
不器用なお前を一人になんてしないさ。

「真っ先に見つけてやるよ」

おれはやつの”分身”にそっと口づけを落とした。

Fin


文身は「イレズミ」のことです。
江戸時代では漁民が出漁中に遭難死した場合の身元確認用に用いられていたという事実を読んで書きました。

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