煌く原子の光に飛び込もう
帰り道
なんだ満月、お前も笑ってんのか。
なんだ満月、お前も笑ってんのか。
◆
「お客さん、悪いが店を閉めさせてくれ」
酒場の主人が恐る恐る口にした。
おれ達の顔を見て賞金首だとわからないわけがないか。
ユースタス屋はこちらを見てにんまりと笑う。
「さずがにこんな店で暴れることなんてできねェよなァ」
「ああ」
おれが金を払おうとする前にやつは主人に金を払っていた。
なんだか”女扱い”されている気がして恥ずかしくなった。
今度飲むときは絶対おれが払ってやる。
主人のほっとした顔を尻目に酒場の外へ出た。
夜風がひんやりと潮の香りと混じって気持ちがいい。
おまけに今日は満月だ。
お互い船舶している場所が違うから、ここでお別れか。
もっとユースタス屋と一緒にいたい。
率直にそう思ったが、絶対言ってやらねぇ。そんな女々しいこと誰が言うもんか。
「おいトラファルガー」
「なんだ」
「送っていく」
「はぁ?」
さすがにその一言にはびっくりだぜ、ユースタス屋。
どこまでお前はおれを女扱いしていやがる!
「てめぇ、2億の首をなめてんのか。お前から消すぞ」
ユースタス屋は髪をかきながら、困った顔をした。
なんだってんだ。
「だって、お前ともっといたいから」
「なっ…」
なんでてめぇはそんな恥ずかしいことを簡単に言ってしまうんだ!
バカバカバカ!!!!!
恥ずかしいからやめてくれ。そんな言葉おれにかける言葉じゃない。
そんなのは女にかける言葉だろ。
「なっ、なに言ってやがる。おれはもう帰るぞ」
そう言っておれはやつに背を向けて歩き出そうとする。
「待てよ」
すぐさまユースタス屋に腕をつかまれる。
「なんだ」
「お前はおれといたくないのか?」
「っ…」
そんなこと聞くなよ。
そんなこと…
お前、おれが強がってんのわからねェのか。
そんなことお前に面と向かって言えねェよ!!!
「言葉に詰まってるってことは、いたくないのか。お前いつもおれといるときつまんなそうだもんな。」
「?」
「話をしてるときだって無表情だし、返答もさばさばしてるし…」
「あ…」
確かにおれはお前と話してるときに笑ったり喜んだりできない。
でもそれは恥ずかしいからであって、お前といたくないなんて微塵も思ったことない。
徐々にユースタス屋の顔が曇っていく。
お前がそんなに気にしていたなんて、知らなかった。
「それじゃあ、おれ帰るぜ」
今度はユースタス屋がおれに背を向けた。
コツ…コツ…コツ…
帰っちまうのかよ。
コツ…コツ…コツ…
このまま、お前に勘違いされたままになっちまうのかよ。
コツ…コツ…コツ…
ユースタス屋!
「待てよ!ユースタス屋!」
やつの腕を握る。
「トラファルガー…」
「まだ答えてないだろ。お前は早とちりしすぎなんだよ!」
「…じゃあ、どうなんだ」
「お前とずっと一緒にいたい!」
おれは何を言ってんだ。この真夜中に大声で。
自分にびっくりだ。
だが何より驚いたのは―やつの顔だ。…笑ってやがる。
「いつもそうやって言ってくれると、こっちも嬉しいんだがな」
「…お前、謀ったな」
「さ、帰るぞ」
おれの天邪鬼な文句を聞かず、おれの手を握ってやつは歩く。
空には一点の曇りもなく満月が輝いている。
なんだ満月、お前も笑ってんのかばかやろー。
「ロー」
「なんだ!」
「お前の顔、真っ赤だぞ」
「うるさい!」
当たり前じゃねェか。
だって、お前が隣で笑ってくれてるんだから。
それがどうしようもなく嬉しいから。
「今度飲むときはおれが全額払ってやる。たまには恥ずかしい思いしやがれ!」
「別におれは恥ずかしくないが?」
「!」
売り言葉に買い言葉。
赤面するおれをやつは大そうおかしそうに笑っていた。
Fin
◆
管理人の大好物、ツンツンローさんです。
たまにはローにかわいいこと言ってもらいたいキッドさんでした。
「お客さん、悪いが店を閉めさせてくれ」
酒場の主人が恐る恐る口にした。
おれ達の顔を見て賞金首だとわからないわけがないか。
ユースタス屋はこちらを見てにんまりと笑う。
「さずがにこんな店で暴れることなんてできねェよなァ」
「ああ」
おれが金を払おうとする前にやつは主人に金を払っていた。
なんだか”女扱い”されている気がして恥ずかしくなった。
今度飲むときは絶対おれが払ってやる。
主人のほっとした顔を尻目に酒場の外へ出た。
夜風がひんやりと潮の香りと混じって気持ちがいい。
おまけに今日は満月だ。
お互い船舶している場所が違うから、ここでお別れか。
もっとユースタス屋と一緒にいたい。
率直にそう思ったが、絶対言ってやらねぇ。そんな女々しいこと誰が言うもんか。
「おいトラファルガー」
「なんだ」
「送っていく」
「はぁ?」
さすがにその一言にはびっくりだぜ、ユースタス屋。
どこまでお前はおれを女扱いしていやがる!
「てめぇ、2億の首をなめてんのか。お前から消すぞ」
ユースタス屋は髪をかきながら、困った顔をした。
なんだってんだ。
「だって、お前ともっといたいから」
「なっ…」
なんでてめぇはそんな恥ずかしいことを簡単に言ってしまうんだ!
バカバカバカ!!!!!
恥ずかしいからやめてくれ。そんな言葉おれにかける言葉じゃない。
そんなのは女にかける言葉だろ。
「なっ、なに言ってやがる。おれはもう帰るぞ」
そう言っておれはやつに背を向けて歩き出そうとする。
「待てよ」
すぐさまユースタス屋に腕をつかまれる。
「なんだ」
「お前はおれといたくないのか?」
「っ…」
そんなこと聞くなよ。
そんなこと…
お前、おれが強がってんのわからねェのか。
そんなことお前に面と向かって言えねェよ!!!
「言葉に詰まってるってことは、いたくないのか。お前いつもおれといるときつまんなそうだもんな。」
「?」
「話をしてるときだって無表情だし、返答もさばさばしてるし…」
「あ…」
確かにおれはお前と話してるときに笑ったり喜んだりできない。
でもそれは恥ずかしいからであって、お前といたくないなんて微塵も思ったことない。
徐々にユースタス屋の顔が曇っていく。
お前がそんなに気にしていたなんて、知らなかった。
「それじゃあ、おれ帰るぜ」
今度はユースタス屋がおれに背を向けた。
コツ…コツ…コツ…
帰っちまうのかよ。
コツ…コツ…コツ…
このまま、お前に勘違いされたままになっちまうのかよ。
コツ…コツ…コツ…
ユースタス屋!
「待てよ!ユースタス屋!」
やつの腕を握る。
「トラファルガー…」
「まだ答えてないだろ。お前は早とちりしすぎなんだよ!」
「…じゃあ、どうなんだ」
「お前とずっと一緒にいたい!」
おれは何を言ってんだ。この真夜中に大声で。
自分にびっくりだ。
だが何より驚いたのは―やつの顔だ。…笑ってやがる。
「いつもそうやって言ってくれると、こっちも嬉しいんだがな」
「…お前、謀ったな」
「さ、帰るぞ」
おれの天邪鬼な文句を聞かず、おれの手を握ってやつは歩く。
空には一点の曇りもなく満月が輝いている。
なんだ満月、お前も笑ってんのかばかやろー。
「ロー」
「なんだ!」
「お前の顔、真っ赤だぞ」
「うるさい!」
当たり前じゃねェか。
だって、お前が隣で笑ってくれてるんだから。
それがどうしようもなく嬉しいから。
「今度飲むときはおれが全額払ってやる。たまには恥ずかしい思いしやがれ!」
「別におれは恥ずかしくないが?」
「!」
売り言葉に買い言葉。
赤面するおれをやつは大そうおかしそうに笑っていた。
Fin
◆
管理人の大好物、ツンツンローさんです。
たまにはローにかわいいこと言ってもらいたいキッドさんでした。
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