忍者ブログ
煌く原子の光に飛び込もう
| Home | About | Caution | SS | My lovely jewel | Log | Other |
[70]  [68]  [67]  [62]  [61]  [60]  [59]  [58]  [57]  [56]  [55
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

光速えろ

奇跡が起こるこの日に。
このサイトに来て下さった全ての方に感謝を込めて。




行くのか、と囁くような弱い声がキッドの耳に伝わった。時は夜更け、所は満天の星屑の下。それはとても静かな別れであった。

「ログが溜まったからな」
「そうか」

それっきりローは何も話さなくなった。暗がりのせいでローの表情がよく伺えない。沈黙に耐え切れず、キッドは文身だらけの手の甲に口付けを1つ落とす。別れの挨拶。唇にはできなかった。ローの唇の感触が残ってしまうのが怖かったからだ。

「それじゃあ――」
「またな」

キッドが言うよりもローの言葉の方が早かった。

またな

海賊に明日はあるのか。わからない。いつ首を取られてしまうのか。わからない。
このたった三文字にどれほどの意味かあるのか計ることなどできやしないのだ。
だが。

「そんな泣きっ面をしてたらいつだって戻ってくるから覚悟しろよ。泣きべそトラファルガー!」
「!」
「またな」

天の川を牽牛は織姫に会うために一晩で16光年を越える。
牽牛さえ光速を超えるのだ。
それならば、こんなちっぽけな地球の海を越えることなんて容易いことだ。
おまえのためなら。
なァ、トラファルガー。

蒼い瞳から零れた涙が天の川に、落ちた。

Fin



Inspired my lovely friend and anonymous poem<3
Thanks for Lily and the arcient.

PR
カウンター
アクセス解析
Powered by Ninja Blog Photo by 戦場に猫 Template by CHELLCY / 忍者ブログ / [PR]