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煌く原子の光に飛び込もう
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氷の心

お前はおれの心を溶かしてくれるのか。

※ロー過去捏造ネタ



「ローよくやったな」

大きな手がぐしゃりとおれの髪を撫でる。おれは下を向いたまま。
――親父のやつ、馬鹿にしやがって。
こんな薬の化学反応やオペの技術なんてすぐに覚えられる。
なにが「よくやった」だ。おれはあんたを早く超えてみせる。

幼い頃のおれは、ただただ親父を超えたかった。
百年に一度の医者と呼ばれた親父を早く超えたかった。
だから、親父に頭を撫でられることが酷く嫌いだった。


ふとおれはベッドの中でそんなことを思い出していた。
その理由は一目瞭然で、ユースタス屋がおれの髪を撫でているからだ。

「大丈夫か、トラファルガー」
「ああ」

急激な気候の変化に耐えきれず、熱を出してしまったのだ。
もともと雪国の生まれで、ジメジメした熱帯の気候にはなかなか慣れない。
おれとしたことが…これでも医者の端くれなのにな。
静かにおれの髪を撫で続けるユースタス屋の顔を、おれはそっと見た。

その顔は酷く優しかった。
――親父もきっとこんな顔してたんだろうな。

あの頃のおれは何もかもが嫌いだったんだ。
親父の名声だとか、周囲の期待だとか。もちろん、親父の期待も。
でも、親父は違ったんだ。親父は本気で息子であるおれを可愛がっていたんだろうな。
この年で親父の優しさに気づくなんて、おれは大馬鹿野郎だ。

「無理すんなよ」
「ああ」

ユースタス屋の姿が親父と重なる。
優しかった親父。

「…トラファルガー?泣いているのか」
「え?」

気づいたら頬を涙が伝っていた。
泣くなんていつぶりだろう。思い出せない。
死の外科医と呼ばれるこのおれが泣くなんておかしい。

「…風邪で涙腺が狂っちまった」

ユースタス屋は返答をせず、黙っておれの髪を撫で続けた。

どうしてだ。
お前といるとおれはいつも昔を思い出してしまう。
それは海賊となると決めた日に忘れたことなのに。
どうしてお前はおれの凍ってしまった心を溶かせるんだ。

お前と一緒にいると心が女々しくなる一方だ。

「ユースタス屋」
「どうした」

お前はおれを独りにしないって誓ってくれるのか。
お前のことを、好きになっていいのか。


Fin


このネタでゾロとの絡みを書きたい。
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