煌く原子の光に飛び込もう
δ -delta-
δdの関係。
こんなに近いのに、まだ遠いのだ。
δdの関係。
こんなに近いのに、まだ遠いのだ。
◆
淡いランプの光に包まれたベッドの上でユースタス屋と肩を並べて酒を飲むこの至福の時。心地よい沈黙の中、おれはどうしようもなくユースタス屋に抱かれてしまいたい衝動に駆られた。
ユースタス屋と体を重ねたことはまだ一度もない。
どういうわけか、こいつはちっとも”その気配”を覗かせない。
酔いのせいにして正直な気持ちをこいつにぶつけてみるか。
「なぁ」
「なんだ」
「おれのこと組み敷かねェの?」
「ああ?」
怪訝な顔をした矢先、ユースタス屋はおれの質問の意味を解したようだった。
「できる訳ねェだろ」
「なぜだ」
「そんなことしたら、てめェの海賊旗が折れちまう」
敵の船長に組み敷かれるなんて死んだ方がマシだ、というのが普通の考え方だ。ましてや同じ男同士。そういった面でも「組み敷く」という行為は、相手を女のように扱っていることになる。ユースタス屋はおれがきっとそんなことをされるのが耐えられないと思っているんだな。
だから、抱こうとしない。
肩に手を回されて、額に口付けを1つ落とされる。ユースタス屋からの愛情表現はいつだって対等だ。常におれの船長としてのプライドを汚さないように扱ってくれる。
でも、その優しさが時に切なくなっちまうことだってあるんだぜ?
「ユースタス屋」
やつのコートの襟を強引に引っ張り口付けをせがむ。
それに応えるようにユースタス屋の唇が重なる。
「お前の前では船長でも海賊でもねェよ」
「じゃあなんなんだよ」
『恋人だ』
・・・なんて言うのは照れくさくて、おれはユースタス屋の首筋に顔を埋めた。
ユースタス屋のほのかに香る香水に胸が締め付けられそうになる。
こんなに近いのに、まだ遠いのだ。
早くお前との距離を0にしたい。
「・・・教えない」
「なんだそりゃあ」
早くおれの気持ちに気付け。
おれはお前に抱かれたいんだよ、バカスタス屋!
Fin
◆
最後まで読んで下さってありがとうございました。
理系丸出しのネタですんません。ちなみに管理人は数学が驚くほどできません(^^)
δ -デルタ-
数学において、微小な差を表す記号。
δdは微小な距離。
淡いランプの光に包まれたベッドの上でユースタス屋と肩を並べて酒を飲むこの至福の時。心地よい沈黙の中、おれはどうしようもなくユースタス屋に抱かれてしまいたい衝動に駆られた。
ユースタス屋と体を重ねたことはまだ一度もない。
どういうわけか、こいつはちっとも”その気配”を覗かせない。
酔いのせいにして正直な気持ちをこいつにぶつけてみるか。
「なぁ」
「なんだ」
「おれのこと組み敷かねェの?」
「ああ?」
怪訝な顔をした矢先、ユースタス屋はおれの質問の意味を解したようだった。
「できる訳ねェだろ」
「なぜだ」
「そんなことしたら、てめェの海賊旗が折れちまう」
敵の船長に組み敷かれるなんて死んだ方がマシだ、というのが普通の考え方だ。ましてや同じ男同士。そういった面でも「組み敷く」という行為は、相手を女のように扱っていることになる。ユースタス屋はおれがきっとそんなことをされるのが耐えられないと思っているんだな。
だから、抱こうとしない。
肩に手を回されて、額に口付けを1つ落とされる。ユースタス屋からの愛情表現はいつだって対等だ。常におれの船長としてのプライドを汚さないように扱ってくれる。
でも、その優しさが時に切なくなっちまうことだってあるんだぜ?
「ユースタス屋」
やつのコートの襟を強引に引っ張り口付けをせがむ。
それに応えるようにユースタス屋の唇が重なる。
「お前の前では船長でも海賊でもねェよ」
「じゃあなんなんだよ」
『恋人だ』
・・・なんて言うのは照れくさくて、おれはユースタス屋の首筋に顔を埋めた。
ユースタス屋のほのかに香る香水に胸が締め付けられそうになる。
こんなに近いのに、まだ遠いのだ。
早くお前との距離を0にしたい。
「・・・教えない」
「なんだそりゃあ」
早くおれの気持ちに気付け。
おれはお前に抱かれたいんだよ、バカスタス屋!
Fin
◆
最後まで読んで下さってありがとうございました。
理系丸出しのネタですんません。ちなみに管理人は数学が驚くほどできません(^^)
δ -デルタ-
数学において、微小な差を表す記号。
δdは微小な距離。
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