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煌く原子の光に飛び込もう
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暴れちゃって

あんたのその崇高な思想の行く末をこの目で見届けさせてくれ!



遂に管理人の妄想が激しくなってまいりました。
キャスケットさん、まさかの彫師という設定です。大丈夫な方はどうぞご覧下さい。



毎日同じことの繰り返しだ。
龍だの虎だの彫りたくもない絵を彫ることを強いられ、逆らえば暴行を加えられる。
『お前はおれ達のためだけに彫ってりゃあ良いんだ』
ヤクザの連中は下品な笑いと共に出て行った。

「くそっ・・・」

集中的に腹部を殴られ床に倒れる。自然と涙が頬を伝う。痛いから泣いているんじゃない。もっとおれには彫りたいものがあるんだ。ヤクザのモチーフなんて彫りたくもねぇ。男のくせして力に屈している自分が情けなくて泣きたくなった。あのヤクザ達がこの街に来て以来おれの生活はめちゃくちゃだ。

「なんであんな連中のためにおれは彫ってんだ・・・」

ぐったり耳を床に付けていると、僅かな振動を感じた。そしてその振動は次第に大きくなってきている。
――こんな店に客か?

「生憎彫師は動けないぞ」
「見りゃわかる」

男は近づいてきておれの身体を起こした。腹部の痛みにむせる。男はおれの腹を触った。腹部を優しく押したり擦ったりして触診している。痛み止め飲んどけば大丈夫だ、と笑った。

「医者なのか?」
「・・・まぁな。あんたヤクザの一味なのか?」
「あんなクズと一緒にしないでくれよ」

おれはあんな汚い連中に彫るためにここまで来たんじゃない。

おれはいつか崇高な思想を持つ男の腕に彫りたい。
そのためにおれは今までこの腕を磨いてきたんだ。
こんなところで屈してる場合じゃねんだ!!
力さえあれば、あんなやつらになんか屈しないのに。
力さえあれば。

「どんなに殴られたって、おれはやつらには従わないさ」
「・・・」
「おれが従う時は崇高な思想を持つ男に会ったときだけだ」
「・・・大層大きな”ハート”持ってんだな。気に入ったぜ、その”ハート”」

そういうと客はにんまりと笑った。

「あの連中、潰してくる」
「おいっ!」

軽々しくなんてこと言ってんだあんたは!
おれの弱弱しい制止に目もくれず、男はすたすたと街に繰り出してった。
潰すって・・・1人で乗り込む気なのか?いくらなんでもそれは危険すぎる。相手は下衆と言えども大きなヤクザ集団だ。

「全く困った客が来たもんだ!」

おれは痛む身体に鞭打って、ヤクザのアジトに向かった――


・・・


アジトの光景におれは目を疑った。
倒れたヤクザたちの海の上に、1人の男が平然と立っているのだ。
あの客だった。

「やっぱクズだったなァ、彫師」

おれに気づいた客はこちらを見てそう言った。
勝気な瞳を見ておれは思わず吹き出した。真っ暗闇だったおれの毎日に、この男はいとも簡単に光を当てた。今まで苦しめられてきたヤクザたちの惨敗振りを見て、おれはこんな下らないやつらのために日々悩み苦しんでいたのかと妙に可笑しくなった。

「あんたただの医者じゃあないな」
「海賊だ」
「医者で海賊だなんて変わってる」

相反する肩書きを持つこの男の思想に興味が湧いた。
一体この男は何を考えているのだろうか。

「おれは死にも生にも屈したくねェんだよ。だが患者を診ててもそれに制約されるだけだ」
「・・・確かにそうだが、どうして海賊なんだ?」


「海賊は死にも生にも屈しないからだ」


――この男こそ、おれが探し求めていた崇高な思想を持つ男なのかもしれない。
おれの直感がそう叫んでいる。心臓の高鳴りが収まらない。どうしようもない感動が全身を駆け巡った。
ああそうだな。死にも生にも屈しないのが男ってもんだ。

「見ず知らずの彫師のために暴れちゃってあんたは・・・ホントとんでもない客だよ」
「ははは」
「今まで見たことのない上客だ」

この男になら、自分の職人生命を懸けてでも美しい刺青を彫りたいと思った。

「あんたの入れたい刺青を丹精込めて彫らせてもらうよ」
「彫るのにどれくらいかかる?」
「短くて一ヶ月はかかる」
「じゃあ決まりだな」
「それじゃ早速――「おれと一緒に来いよ、彫師!」

突然の誘いに直ぐには返答ができなかった。
だが、答えはもう決まっている。

おれが従う時は崇高な思想を持つ男に会ったときだけだ。

「喜んであんたの部下になるよ」

あんたのその崇高な思想の行く末をこの目で見届けさせてくれ!

Fin



最後まで読んでくださってありがとうございました。

ワンピースを読んでいて・・・
①「お前・・・何人殺した」のシーンでキャスケットの腕に刺青発見!もしや彫師?
②3人の船長が暴れた現場をクルーたちが目撃しているシーン(キラーが気の早い奴らだって言ってるシーン)って、ゾロ、キラー、キャスケットのコマ割りですよね。この3人に共通しているのが「最初に仲間になった人」なのではないか?

という残念な妄想の産物がこれです(^^)
すいません。
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