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煌く原子の光に飛び込もう
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北国育ち

ねぇキャプテン

おれはこの先どんなことがあったってキャプテンに付いて行くよ。


★お題に挑戦


おれはついに船室の暑さに耐えられなくなって、真夜中に音をたてないように甲板に出た。
外はノースブルーの最果ての極寒の海。
まだ、おれの故郷だ。

この海の先は暑いのかな。
おれの知らない世界だらけなのかな。
これから先のことがどうしようもなく不安だよ。
キャプテンはおれに来てほしいと言ってくれた。
けど、おれキャプテンの役に立てるのかな。
他のクルーとうまくやってけるのかな。

着々と遠のいていく故郷。
満天の星空の下で思い浮かぶのは懐かしい記憶。

寂しい。

おれにはこのつめたい甲板の方がいい。
船内にいたら心までつめたくなっちゃうよ。

「ベポ」

そう呼ばれて振り返ると、パジャマ姿のキャプテンが立っていた。
起こしちゃったのかなぁと、突然の登場にあたふたしていると、キャプテンは何も言わずにおれの横に来て仰向けになった。両手を後頭部に置いて星空を見ている。

「キャプテン、風邪ひいちゃうよ」

極寒の地でそんな格好じゃあとても生身の人間が耐えられるはずがない。
不安な顔つきでキャプテンを見つめていると、キャプテンはおれの背中を優しく叩いた。

「おれだって北国育ちだぞ」

キャプテンも北国育ちだったのか。知らなかった。
思えばおれはこの人のことを何にも知らずに付いてきたんだよなぁ。

お前も横になれと言われて、おれもキャプテンと同じように寝そべって星空を見た。

空には満天の星屑。下には広大な海。
広い世界でおれはちっぽけな存在。
この先がどうしようもなく不安で、今にも泣きそうだ。



「おれがいるから大丈夫だ」



おれの気持ちを見透かすかのようにキャプテンはそう囁いた。
ちらりと目線を空からキャプテンに移す。
キャプテンと目が合った。

「キャプテン」
「お前はもう一人じゃないだろ?なァ」

そう言うキャプテンの顔は、逞しくて優しい笑顔だった。
何もかもを包んでくれる笑顔だった。
おれを誘ってくれたときと同じ笑顔だった。
――ああ、おれはこの人のこの笑顔に惹かれて付いてきたんだよな。
どうしようもなく嬉しくて泣きそうな顔を隠すためにおれはまた空を見上げた。

今じゃ誰もいなくなってしまったおれの故郷。
そこから救い出してくれたキャプテン。

ねぇキャプテン
おれはこの先どんなことがあったってキャプテンに付いて行くよ。

おれは空に瞬く北斗七星にそう誓った。

Fin



最後まで読んで下さってありがとうございました。

この小説で書きたかったシーンナンバーワン
パジャマ姿のキャプテン」

この後やせ我慢ローさんは
やっぱり寒くなって
ベポにもふもふしに行きます。
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