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ネオンライトに照らされた無数の泡が宙に浮かんでは消える。
眠らぬ街はある男に魅了されていた。
コートを纏ったその男がすれ違い際に残すのは紅い羽と甘い匂い。
誰もがそれに足を止め振り返るが、当の本人は気に止めずに歩いて行く。
ユースタス・キャプテン・キッドにはヤツしか見えていないのだ。
バビロンと書かれた大きなゲイ・バーの前で、幾多の色を含んだ目線に熱い目線を送り返しているヤツを見つけた。それが嫉妬の炎を燃やさせるためにわざとやっていることに気づかずにまんまとキッドは嫉妬して睨みつける。それに満足して妖しく微笑み返す、その男。
「おせェな、ユースタス屋」
「急ぐなよ、夜はこれからだろ?トラファルガー」
「早く入ろうぜ、オレの好きなDJの時間終わっちまう」
2人は地下へ続く闇に紛れた。
店内には甘いココナッツミルクの匂いが漂い男たちはまぐわう。
誰もが理性を飛ばして踊り狂っている。
ダンスフロアの人ごみに混ざり、思わず逸れてしまいそうになる。それを阻止するようにキッドがローの瞳を捉えた。気づいたローは舌舐めずりをしてこう囁いた。
「I wanna take a ride on your disco stick」
唾液で濡れた紅色は戸惑いに揺れる唇を貪った。キッドにはその言葉が流れている曲のフレーズであると気づく余裕などなかった。ローは強引にキッドを壁際へと押し付けた。紅い羽根が舞い散ると、キッドの薄桃色の突起が露わになった。噛みつくように甘噛みすると、ぐしゃりと黒いマニキュアに染まった指先がローの髪を掴む。
「なんの真似だ」
眉間に深い皺を寄せて睨むが、ローには効かない。
「たまにはいいだろ?おまえがおれに襲われんの」
こんなローの姿は見たことがなかった。アルコールとこの場の雰囲気に呑まれているのだろう。隣も隣も倒錯的な光景が広がっていた。低音の嬌声がフロアの四つ打ちに紛れて聞こえる。青いライトの中はまるで海のようだ。
わだつみに嫌われたおれたちは、海に呑まれる。
――このままお前と溺れるのも悪くない。
「望むところだ、淫乱」
その不敵な笑みに応えるかのようにキッドのボトムスを脱がした。
キッドが身につけていたものに塗れてローは跪き、すでに熱くなっているペニスを掴んで舌を這わせる。
赤髪で特徴的な色素を持つためか、キッドは極端に頭髪以外の身体の部位の毛が薄い。それは陰部も例外ではなく、本人が酷く気にしていることをローは知っていた。ちらりと上目でキッドの顔を覗くとほのかに顔が赤くなっている。
「毛がねェこと、気にしてんのか?」
「んなわけねェ!」
「そんな顔赤らめて説得力ねぇっつうの。…おれ達はパイパン好きなビッチカップルといこうぜ」
「?」
キッドの羞恥心を少しでも拭おうとローが密かに除毛したことをキッドが知るのは、まだ先のことである。恥じらうキッドに遠慮なくローは、あたかも周囲の男たちをも扇情するかのようにく艶めかしくオーラルセックスを続けた。
目線の先には、黒革の上質なブーツが見える。キッドが唯一脱がなかったものだ。このことが、より一層外で行為に及んでいることをローに印象づけた。刺すような男たちの妖しい目に思わずローは達しそうになった。
まだお楽しみはこれからだ…
艶めかしく笑うローにキッドは気づくよしもなかった。
Fin
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11月3日のオフ会での戯言から始まった企画です!
キッドさんが
・乳首ピンク
・裸ブーツ
・下の毛なしw
というお題で書こうというものでした。
む、難しすぎましたorz